まどろみの屋根とひかりの水面 ～絵画と自然の甘さを感じる美術館でのアーティスト・イン・レジデンスによる地域活性化～

コンセプト　甘い×自然×美術館
・「甘い」という言葉から連想したのはモネの絵画の色合いと自然
・　私の中の自然は故郷の風景　普段の生活では感じ取りにくい穏やかな風の形や水の形を感じ取れるゆったりとした時間
が大好きだった。
⇒モネの絵画と地元の風景をリンクさせた美術館を作り、地域の魅力を伝える

提案内容
①故郷の自然の豊かな風景とモネの絵画に描かれた自然に共通性を感じ、モネの絵画のまどろむような色彩に包み込まれる空間と屋内にいながら自然を感じられる空間を作る。
②美術館内に国内外の作家が滞在製作できる施設（アーティスト・イン・レジデンス）を作り、アーティストに地域の文化や豊かな自然の良さを発信してもらい地域の活性化を目指す。また、地域の人や観光客とアーティストとの交流の場を提供する。

計画地　兵庫県豊岡市城崎町　東山公園　
　　　　城崎温泉駅から徒歩10分、標高33mの小さな山の中にある。
　　　　小さな展望台があり、山と海につながる円山川を展望できる。

デザインのポイント
・曲面屋根＋柱
自然の風景になじむように曲面屋根にした。
屋根と柱は一体型となっている。
柱の中には排水管が通っており、屋根の傾斜によって雨水が集まるようになっている。

・ひかりの水面の柱　
柱の周囲を囲む構造がありそこにスリットが入っている。柱と柱の周囲を囲む構造の隙間には光と雨水が通る隙間がある。
スリットからは光が内部の天井に映し出されまるで水面のような模様を作る。雨の日には排水管を通る水による揺らぎが天井に映りこむ。

・ガラスの外壁
屋根の曲面形状に合わせてはめ込まれたガラスから、自然の光が全面に入り込むことにより、柔らかな光に包み込まれた空間を演出する。
また、周囲の豊かな自然と建物が一体になり、室内に居ながらも風景を楽しむことができる。

・アートカフェ・アートライブラリー
モネの絵画を壁面と床に貼ることで、モネの絵画に包み込まれる空間をつくる。ガラス張りの壁面にすることで絵画と地域の自然の両方が楽しめる空間になっている。

・展示室
モネの絵画と地元の風景がどこか重なるような展示内容になっている。観光客には城崎の後に周辺地域も回ってもらえるよう、地元の人には普段の日常にある美しい景色に気づいてもらいたいという狙いがある。
展示室の入口の天井高を低く、奥に入るにつれて高くすることで中に入るときの高揚感を演出した。

・制作室
アーティストの製作活動を間近で見ることができる。
大型の製作も可能なように天井高は高くし、完成した製作物は隣の展示準備保管庫を通って展示室に移動できるようにしている。明るく演出したいため、天井からは自然の光が差し込むようにした。

・ワークショップスペース
アーティストが地域の人や観光客を対象にワークショップを開いて交流できる空間。

・星見エリア
芝生で覆われた屋外に通じる空間。天井には外とつながる穴が開いており、天候によって様々な景色が楽しめる。
天気が良い日には芝生で寝転んだり、楽器の演奏会をしたり、夜には星を眺めることができる。

・屋根の上
もともとあった展望台の役割を果たす。
エレベーターで屋根の上に出ることができる。
城崎の町の風景と、山と海につながる川を一望できる。

最後に
この企画により、地元の魅力が訪れた人に伝わり、城崎だけではなく少し足を伸ばした地域の活性化につながる事ができればと願っています。
観光客はもちろん、地元の人にも地域の魅力を再認識して普段見ている風景の美しさに気づいてもらい、身近にある小さな幸せに気づくきっかけが作れたら幸いです。
今回の企画としては、私の地元を計画地としましたが、今後の展望として各地方に他の画家の世界観と地域を楽しめる美術館を作り、画家の世界観と各地方を巡る旅として日本各地の地域活性化につなげることができたらと思います。