選択できる幸福



建築とはあくまでも人間に密着した主体的行為としての技術であるならば、人の役にたち人を活かし人を幸福にしてこそ価値を発揮するのではないか。
様々な問題を含む女性の貧困を軸に、建築を利用した価値の転換を図りたいと思い企画した。

【企画背景】
日本は先進国の中でも相対的貧困率が高いと言われており、とりわけ女性の貧困率はさらに高く様々な問題を含んでいる。
貧困問題として
・非正規雇用(不安定な収入と就労状況)
・家庭環境(世代間の貧困や虐待)
・障害(軽度を含む精神疾患や身体障害)
・望まない住環境(低価格家賃帯)
などがあげられ、本来なら行政や福祉の手が必要なはずがなかなか行き届いていない現状が見受けられる。
また一部では風俗産業がそうした貧困女性の受け皿になっており、セーフティーネットとして機能する代わりに女性への搾取構造もみられる。

そして貧困の解決に不可欠なものとして
・住居
・仕事
・社会福祉
・地域コミュニティ
などがあげられる。これらを建築デザインの力で解決したいと思い今回の企画の立案となった。
さらに風俗店で働く貧困女性にスポットを当て新たなシステムの構築を加え今までにない価値の創造を図った。

【計画地】
大阪市浪速区アポロワンビル
(1990年代から続く風俗ビル)

【デザインコンセプト】
・繭→蛹から蝶へ変容するようにこの建物に関わる全ての人がほんの少しでも「しあわせ」へと変容できるよう願いをこめて。
・木造&RCのハイブリッド工法→温もりある空間にするため地上階の基礎を木造CLT工法で設計。地下部分はRC構造。
・ダブルスキン構造→本体部分をガラスで覆い繭を表現。デザイン性だけでなく居住者のプライベートや景観にも配慮。

【フロア解説】
地下1F~地上6F
・地下1F→風俗店舗(AI型ラブドールを利用した完全リモート接客)
・1F→パブリックスペース&スタッフルーム(地域住民も利用でき不定期でワークショップやイベントを開催。また専門スタッフが常駐し就労支援などをサポート)
・2F~5F→居住スペース(従業員女性の居室空間。シングルマザーの居住も想定。クロスや床の内装デザインは自由に変更可能)
・6F→スパ&ジム(居住者専用の温浴兼ジム。居住者同士の憩いの場として設計)

【風俗店システム】
東京日本橋にある「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」
ここではベッドから起き上がることもできない重度の障がい者の方たちが分身ロボット『OriHime』を遠隔操作し接客を行っている。
ここから着想を得て、AI型のラブドールを使った完全リモート型の風俗店システムを考案。
心身の疲弊が多いとされる風俗産業において「自分の身を犠牲にしない」ワークスタイルを確立。


3.すべての人に健康と福祉を 11.住み続けられるまちづくりを




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