Tsunagi ~モノとモノ、モノと人をつなぎ、未来へとつなぐ場所~
はじめに
大切なものが傷ついたり壊れたりしたとき、とても悲しい気持ちになります。
元通りとはいかなくても、より魅力的に直すことができれば・・・
きっと今まで以上に愛着も湧くのではないでしょうか?
そんな思いを建築やインテリアに気軽に取り込むことはできないか思ったことがきっかけです。
1.スクラップ&ビルドからストック&リノベーションの時代へ
世界のごみの半数以上は建築物からといわれており、環境負荷や資源の観点からストック&リノベーションの時代に変化しつつあります。
2.海外では古い家のほうが価値がある
日本では新築が好まれる傾向にありますが、海外では古い家の方が価値があるとされています。
材質の違いもありますが、海外では購入者自身が頻繁にリフォームやメンテナンスを行うという考えが強く、建物の価値を落とさず良い状態に保たれていることが理由の一つとして挙げられます。
3.日本の伝統技術 金継ぎ
古いモノを再生する伝統技術として日本には金継ぎという文化があります。
ひび割れや欠けなどの傷を隠すのではなく、モノの歴史として装飾に取り込み新しい命を吹き込む、モノを大切にする日本人らしい文化です。
この金継ぎの考え方を建築やインテリアに取り入れ、古い建物に新たな魅力を与えたり今使っている家やモノをメンテナンスしながら大切に使うことで、建物の寿命が延び環境負荷を減らすことができるのではないかと考えました。
CONCEPT Beyond×価値観
1.古い建物に新たな魅力を与えて定期的なメンテナンスを促します。
メンテナンスを身近に感じてもらう場を作り、今ある建物を大切に使う意識を高め建物の寿命を延ばします。
2.環境問題に関心を持ってもらい、身の回りのものの再利用に参加できるような場を作ります。
提案内容
①メンテナンスしたくなるような魅力のある修繕方法の提案
例)ひび割れ修復後のコーキング材の上に金継ぎ様の塗装を施し、ひびを装飾の一部にする。
②身の回りの物や廃材を利用したインテリアやアクセサリーの販売
例)割れた陶器を活用したタイルやアクセサリー、廃材を活用した家具やおもちゃなどを販売する。
③サスティナブルな生活雑貨の販売や取り組みを知ってもらい参加できる場を提供
例)美濃焼きなどの陶器の産地では割れた器でまた器をつくるRe:食器という取り組みがなされている。
Re:食器の販売や、割れた器を回収するboxを設置する。
デザインのポイント
外観
和風の懐かしさを感じる要素とモダンな新しさを感じる外観
外壁の色はひびに装飾をした際にきれいに見えるような暗めの色合いにした。
建設地は3方向が隣地と接していて非常に狭く閉鎖的な印象なので、2Fにベランダを作りカフェスペースにすることで開放感をだした。
玄関
日本風の引き戸を設け新しさと昔ながらの雰囲気が感じられるデザインにした。
出窓のガラスは金継ぎ様の装飾がされている。
室内
床材は古木材を使用。什器も全て廃材からできている。外壁や内壁、インテリアで建物のメンテナンスやエシカル消費を考えられる場になっている。
1F
Re.食器の販売、廃材アクセサリーや家具販売スペース
和を感じるシンプルな空間。廃材でできた家具やアクセサリーを販売。
使わない陶器の回収スペースもあり、気軽にSDGsに参加できる。
什器や家具なども廃材をつなぎ合わせたりあえて不定形な形を楽しむデザインにしている。
2F
相談ルーム
メンテナンスに興味を持った人が相談できるスペース。お子様連れでも退屈しないようロフトにキッズスペースを作った。小窓から子どもの様子が見える。
ワークショップ兼カフェスペース
カラフルな古木材でできたヘリンボーンが楽しそうな雰囲気を演出する空間。
廃材を用いたワークショップを行い、終わった後はカフェで交流できるような場を作った。
窓は片側に寄せられる様にし、開放感を演出した。
ベランダ
カフェスペースから横に回り込め、外壁の修繕を見ることができるスペースを設けた。
効果予測
家のメンテナンスを身近に感じてもらい、建物を大切に使う意識が高まることで建築物が長く使えるようになることが予測されます。
身の回りにあるものをもう一度使えるように提案をすることで、各自のモノに対する意識が変わり資源やゴミの問題に貢献することが期待できます。
モノとモノをつなぎ、モノと人をつなぐことで人と人、未来につなげていければと願います。
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